前回のブログのテーマは泣くことでしたが、今回は怒ることについて書いてみたいと思います。
なぜかと言うと、先日、母に怒られた?からです。
私の母は17年前に脳の大手術をした後、認知症が急速に進行し、今は施設に入所しています。お正月に見舞った時には、それなりに元気だったのですが、3月中旬「このところ急に食欲が落ち、固形物をほとんど食べられず、流動食を食べさせてもらっているけれど、かなり弱って来ているようだ」と、父から電話が来ました。
1年前に叔母(母の姉)、そして今年の元旦には叔父(母の姉の夫)を亡くしている私は、母のことが心配でたまらず、連絡がきてから数日後、母を、見舞うために帰省しました。
帯広駅まで父に迎えに来てもらい、そのまま施設に直行。病室の母の元に行ったのですが、父が「きょうこが来てくれたよ」と言っても、「この人はきょうこではない」と否定、娘だと認識してもらえませんでした。今まで、一瞬分かってもらえないことはありましたが、こんなことは初めて。私は、仕方がないことだと思いながらもやはり、落ち込みました。
でも、せっかく会いに来たのだからと、気持ちを切り替え、いつものようにマッサージをしてあげようと、まずは手を取り、マッサージを始めました。ところが、突然母は私の手を振り払い、「バカヤロー、家に帰りたいんだよ。家に帰って眠りたいんだよー!」と怒鳴りだしたのです。
さすがに今度は、大ショック!「お母さん、一体どうしちゃったの?」と泣きたい気持ちをこらえながら、私は、心の中で悲しい叫び声をあげました。
でも、次の瞬間、娘の立場から看護職の立場(私は保健師です)になってみようと頭を切り替え、母の状況を想像してみました。私が想像した母の心の声は、「自分は今、眠りたいのに、見ず知らずの人が勝手に手を触って来て、何しようっていうんだよ」。
そのように想像してみることで、動揺していた気持ちは、かなり和らぎました。
そして、しばらく少し離れた場所に座り、母の様子を観察してみることにしました。
母はウトウト眠りかけたり、流れていた音楽に合わせて手を動かしたり•••。そうして30分ほどたった頃、頃合いをみて、声をかけてみました。すると今度は、いつもの穏やかな母に戻っていて(娘と認識してもらえていたかどうかは定かではありませんでしたが)、気持ち良さそうにハンドマッサージを受けてくれました。ようやく、私は心からほっとできました。
帰省から戻ってすぐに、たまたま遊びにきていた夫の友人の医師Oさんにこの出来事を話したところ、Oさんは「それは良い傾向だね」と言ったのです。私は意味が分からずきょとん。どういうことなのか聞き返すと、
Oさんは、「怒るということは、交感神経が優位で、ファイティングモード、つまり病気と闘おうとしている状況。生きようとする力だと思うよ」と教えてくれました。この説明で私は、母に怒られて悲しかった気持ちが更に薄らぎ、何だか元気が出てきました。
「怒ることは良くないこと」一般的にはそういう認識があると思います。でも、弱っている病人にとっては、生きようとする力として、捉えることもできるんだなあと、新たな見方を知ることができました。
さすが、20年以上医師をしているOさん。持つべきものは良き友人です(ほんとのところは夫の友人ですが)。
今度帰省したら、このことを父にも教えてあげようと思ってます。そうすれば、もし母を見舞った時に母が怒っていたとしても、父も安心できるでしょうから。
父も母も既に70代後半。両親と過ごせる時間は、決して多くないと思うので、後悔しないようできるだけ帰省したいなあと思うこの頃です。
これは小樽、銭函駅前のお店の土鍋プリン。食べ応えがあって美味しかったですよ♡